![]() スサノヲも人の子=オッと!神も神、伊邪那岐、伊邪那美の息子、天照大神の弟でした。そのスサノヲは八十神の迫害から逃れてきた大穴牟遅の神に娘の須勢理毘売(すせりひめ=絵中央女性)が一目惚れ。たちまち同衾してしまったことに、いささか困惑。試練を課した後に「須勢理毘売を正妻にしろ」と厳命する。困ったのは八上比売(やがみひめ=絵左下)で、白兎事件以降、八十神を拒絶し、大国主命に寄り添ってきたが、後にオオクニヌシの前から姿を消す。 ![]() プレイボーイに“変心”したオオクニヌシはスサノヲの恫喝に困惑(Copilot AI で生成) 「根の堅洲国に行きなさい。そこにはスサノヲがおいでだ。きっと良い考えをされる。その教えに従いなさい」とオホヤビコはオオクニヌシに言った。真っ直ぐに根の堅洲国へ向かった。するとそこで須勢理毘売(スセリヒメ)に会った。須竿を之娘でなかなかの美女だった。二人は目が合った途端に投合。初対面ですぐさま深い関係に陥った。 「お父さん。とても美しい神様がいらっしゃいましたとスセリヒメ。 「こいつは葦原色許男(あしはらしこを)という者だ」 家に招き招き入れたが、案内したのは蛇の室だった。スセリヒメは夫となったオホナムヂに蛇よけのヒラヒラするモノを渡して「蛇が食いつこうとしたら、これを三回振って追い払って下さい」と囁いた。その通り蛇が出てくると、言われた通り三回振るとおとなしくなった。オホナムヂは何事もなかったように室から出てきた。 次の晩はムカデと蜂の部屋に寝かされたが、スセリヒメは同じように呪いの布を渡し、同じように教えた。夜を過ごし、無事に出てきた。スサノヲはまだ試練を与え続けた。今度は大きな音を立てて飛ぶ、鳴鏑を広い野原に放ち、それを取ってこいと命じた。オホナムヂが野原に入ると、スサノヲは火を放ち野原を焼き払おうとした。オホナムヂは逃げようもなく困惑していると、ネズミが出てきて言った。 「内はホラホラ、外はスブスブ」 これを聞いたオホナムヂは足下を強く踏んだところ、ところ、空洞があってそのまま落ち込んだ。中に入っている間に野火は燃えながら通り過ぎていった。ネズミは鳴鏑を咥えて出てきたが、その羽は子ネズミがかじってしまい、すっかり無くなっていた。スサリヒメはオホムジナは死んでしまったと思って葬式の用意をしながら出てきた。スサノヲはやはり死んだと思って野に立った。ところがオホナムヂは矢を持ってきてスサノヲにそれを捧げた。 ![]() スサノヲはすぐに家に引き入れ、大きな部屋に招いた。 「この頭に居る虫を取れ」 蠢いていたのはシラミ。さらに見るとムカデが居るではないか。スセリヒメは椋の木の実と赤土をオホナムジナに投げ渡した。オホナムヂは実を食い破り、赤土口に含んで吐き出すと、スサノヲはオホナムヂがムカデを噛み砕き吐き出したと思い、良い奴だと思いながら寝てしまった。 そこでオホナムジはスサノヲの髪の毛を部屋の垂木に結びつけ五百人もの人で引くほどの大石で部屋の戸を押さえつけ、スセリヒメを背負って、スサノヲの素晴らしい太刀と弓、それに神託の時に使う琴を持って逃げだそうとした。その時、琴が木に触れて大きな音を出した。寝ていたスサノヲは、飛び起きて部屋そのものを引き倒す勢いで追いかけようとした。しかし、垂木に縛り付けられている髪の毛をほどいている間に、オホナムヂは遠くへと逃げた。黄泉毘良坂(よもつひらさか)まで追いかけたが、捕らえることは出来なかった。そこで、スサノヲは遠くまで逃げた大穴牟遅神に呼びかけた。 「その太刀と弓矢で、お前の兄弟・八十神を坂の先まで追い立て、河の瀬の端まで追い払え。お前は大国主と名乗れ。宇都志国玉神(ウツシクニタマノカミ)となって、吾が娘を正妻として宇迦の山の山本に深く埋まった岩の上に太い柱を立て、高天の原に千木を高々と立てて暮らせ。こいつめ」 娘と達者で暮らせよ、の気持ちがありあり。オホナムヂ、今や大国主命は太刀と弓で八十神たちを河の渡し場まで追い払って、初めて国を作った。 一方、ヤガミヒメは約束通り出雲へとついてきたが、スセリヒメが正妻になったため、生まれた子を木の俣にはさんで姿を消した。その子は木俣神(キノマタのカミ)、またの名を御井神(ミヰのカミ)という。 |