

伊邪那岐の禊ぎから誕生した天照大神、月読命、建速須佐之男命の三貴子の末っ子、スサノヲはアマテラスが石屋戸に籠もってしまうほど、高天原で暴れた。神々が集まり、天宇受売命の踊りで、何事だろうとアマテラスが石屋戸をずらしたところを天手力男神が引き出し、高天の原や葦原中国に明るさが戻った。
しかし、八百万の神はスサノヲの暴虐を許さず、爪を切り、髭を剃って高天の原から追放した。爪と髭を切り、剃り取ったのは、罰則と言うより、穢れを取り除く儀式でもあった。さらにスサノヲには罪をあがなうための品々を載せた卓を千基用意させた。そして追放。神々もスサノヲには厳しく当たっている。

高天の原から追放されるスサノヲ(Grok AIで生成)
古事記はここで突然、五穀の起源にスサノヲを関係させる。大気津比売神(オホゲツヒメのカミ)に「何か食い物はないか」と乞いた。びっくりはしたがオホケツヒメは頭、鼻、口、尻などからおいしい食べ物を出し、料理して差し出した。すさのうは一部始終を見ていたので「汚いものを食わせる」と怒り、殺してしまった。しかし、神の世は違う。コロされたオホケツヒメの体から色々と生まれ出た。
頭=蚕
目=稲
耳=栗
鼻=小豆
ホト(女陰)=麦
尻=大豆
衣類の元となる蚕を除く五種類の種を集め、人々の食べ物の種とした。仕切ったのは神産巣日御祖命(カミムスヒのミコト)で、五穀を後の世に伝えた。スサノヲの“殺し”は、神々、ひいては人々に生きる糧を残した。穀物の神が殺される神話は世界に多くある。再生=豊穣が結び付いていると言われる。
スサノヲはここから天上を離れ、出雲へと下る。降り立ったのは、出雲の国、肥河(ひのかわ)の鳥髪(とりかみ)という所だった。桃太郎伝説ではないが、ここは川上から流れてきたのは桃ではなく、箸だった。
「上流に人が住んでいるな」
気づいたスサノヲは川筋を辿って上流へと歩いた。カンは的中。老人夫婦が、若い娘を中に涙を流していた。スサノヲは声をかけた。
「あなた方はどういう者だ」
「私たちは地上の神です。足名椎(あしなづち)と妻は手名椎(てなづち)と言います。娘は櫛名田比売(くしなだひめ)=日本書紀・奇稲田姫(くしいなだひめ)=と申します」
「お前たちは何故、泣いているのだ」
「私たちの娘は元々八人いましたが、高志の八岐大蛇が毎年ここへやってきて、娘を一人づつ食べてしまうのです。今年は今が大蛇の来る時なのです。悲しくて、悔しくて泣いているのです」

クシナダヒメの親、アシナヅチ(右)、テナヅチの墓。(真偽は問いません)=雲南市にある
「大蛇はどういう形をしているのだ」
「その目は熟した赤いホオズキのようで、一つの体に八頭八尾があります。その身にはコケ、杉、檜などが生え、大蛇は長い八つの谷、八つの尾根に渡り、腹はいつも血塗られています」
「この娘を私にくれないか」
「エッ、有りがたいことですが、まだお名前も聞いてはおりません」
「そうだっな。ワシは天照大神の弟で母は同じだ。今、天から下ってきたところだ」
「恐れ多いことです。もちろん娘は奉ります」
随分威張った嫁取りだが、アマテラスの弟と聞けば有無はない。
こうして娘を我がモノとしたスサノヲは早速、八岐大蛇の退治の準備に取りかかるのだった。
8つの頭?殴りでがあるぜ!
巨大な“怪獣”は八つの頭を持つ蛇。暴れ者のスサノヲにとっても初めての敵。クシナダヒメの姿を櫛に変えて自らの頭髪に差し込んで、具体的な策をアシナヅチ、テナヅチ夫婦に授けた。
「八回の醸造、垣を巡らせ、八つの門を作り、そこに棚を設けて酒を入れた壺を置く」。
言われた通り尾準備をして待っていると、大蛇がやってきた。八つの頭をそれぞれ壺い突っ込み、グビグビと呑む。そしてグタグタに酔っ払って寝込んでしまった。スサノヲの狙いは的中した。腰に佩いた十拳剣をすらりと抜き、だいじゃを切り刻んだ。大量の血が噴き出し、血の川となって流れた。尾を切ったとき、カチッと音がして十拳剣が刃こぼれした。スサノヲは不思議に思い丁寧に割いたところ、鋭い剣が現れた。
「これは…。大切なモノだ。アマテラスに献上しなければ…」

三種の神器(鏡、剣、勾玉)
後に草那芸(くさなぎ)の剣、と言われるっようになった名刀として、三種の神器として伝えられてきている。
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