

現世と冥界を分ける黄泉の比良坂はこの石柱の先。
黄泉の国は“よみのくに”(岩波)、“よもつのくに”(河出)とわざわざ振り仮名が付けられている。河出版は両方を使い分けているので、さて、どちらが正しいのか、さっぱり分からなくなる。最新のAIで調べてみたが、よみ、の方がチト古いようだが、よもつ、も学術系はよく使うようだ。要するに「どっちでもお好きなように」という結論みたいだな。そこでわかりやすい「黄泉の国」と読み、時に「よもつ」とカッコを付けるかな。
楽しみのドライブ旅行。安木節の“ドジョウ掬い”が目的地の途中にある。立ち寄らない手はない。オッサンの踊りはザルを巧みに、腰つき、足運びと、誠に堂に入っていて、笑うばかり。

「お客さんの有志の人。踊ってみませんか」
誘われて引っ込む訳にはいくまい。何人かと列を作り、オッサンの後に従って不細工に踊る。
♫ あら、えっさっさー。
三味線が拍子を取り、我ながらうまく踊っているようだなー。自分で自分の踊りは見えないから助かる。
もう一度。♪アラ エッサッサー、と黄色い声。
現世を忘れる楽しさ。
オッとご免。現世と冥土の境界の「黄泉の比良坂」へ行くのが本命だった。

この石で通路を閉ざし、で伊邪那岐は伊邪那美の追走を振り切った

松江と安木のほぼ中間。国道9号線から標識に従って約300㍍ほど坂を上ると駐車場がある。黄泉の比良坂はすぐ先にある。古事記の記載と現実に存在する”伝説の現場”には、違和感はあるが
「それがドーシタ!」
そうです。どうにも致しません。古事記は淡々と進みます。
「いとしい妻よ。二人で作り始めた国は、まだ作り終えてはいない。ここから還って来いよ」
「悔しいけれど、あなたが迎えん来るのが遅かった。私はもうここの食べ物を口にしてしまいました。黄泉の神と話し合ってきます。戻ってくるまで、決して私を見ないでね」
こう言って伊邪那美は黄泉の国から現世へと戻れるように、黄泉の神のもとへと行ったのだった。しかし、長い間戻ってこない。伊邪那岐はいらいらし始めた。
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